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わずかな不純物が大きな影響をもたらす:0.01%の不純物を高い信頼性で検出する

高純度の化学物質や材料を使用することは、信頼性の高い一貫した結果を得るために不可欠です。ポリマー分析、製薬産業、材料科学など、さまざまな研究・産業分野では、わずかな質量損失を正確に検出することが重要です。最高水準の純度要件を満たすには、精密な品質管理が欠かせません。そこで活躍するのが、熱重量測定(TGA)や同時熱分析(STA)です。

はじめに

熱重量測定(TGA)は、試料の質量変化を高精度に測定できる分析手法であり、材料の組成分析などに用いられます。一般的な測定では、20~30 mg程度の試料を使用します。

ごく微量の成分を検出する方法の一つとして、NETZSCH Proteus® ソフトウェアに搭載された Residuum Value 機能があります(アプリケーションノート AN 182 を参照)。ただし、この方法だけでは、試料が複数の質量損失ステップを示すかどうかを明確に判断できない場合があります。

別のアプローチとして、測定開始時の試料質量をできるだけ大きくし、絶対質量損失を増やす方法があります。しかし、標準的な容量85 μlのるつぼでは、収容できる試料量に限界があるため、約0.01%というごくわずかな質量損失の測定は容易ではありません。

分析精度と測定方法の柔軟性を高めるため、NETZSCHでは、85 μlから10 mlまでのさまざまな容量に対応したアルミナ製るつぼ・容器を提供しています(図1)。容量の大きな容器を使用することで、より多くの試料を測定系に組み込むことができ、微小な質量損失の検出に役立ちます。

容量10 mlから85 μlまでのさまざまなサイズのAl₂O₃製ビーカーおよび容器
図1:容量10 ml(左)から85 μl(右)までのAl₂O₃製ビーカーおよび容器

実験方法と結果

NETZSCH STAを用いて約0.01%の質量損失ステップを検出できることを実証するため、9.96 mgのシュウ酸カルシウム一水和物(CaC₂O₄·H₂O)を入れた容量85 μlのアルミナるつぼを、15.5369 gのAl₂O₃球をあらかじめ充填した容量10 mlのAl₂O₃ビーカーに設置しました。このAl₂O₃球は、試料全体の質量に対してごくわずかな質量損失を示すモデル系を構築するために使用しました(図2)。

シュウ酸カルシウム一水和物を加熱すると、次の3段階の質量損失が順に観察されます。

(i)脱水反応
CaC₂O₄·H₂O → CaC₂O₄ + H₂O

(ii)一酸化炭素の放出
CaC₂O₄ → CaCO₃ + CO

(iii)二酸化炭素の放出
CaCO₃ → CaO + CO₂

シュウ酸カルシウム一水和物とAl₂O₃球からなるモデル試料の質量減少曲線
図2:モデル試料(CaC₂O₄·H₂O+Al₂O₃球)の質量減少曲線

各反応ステップの理論質量損失は、化学反応式の化学量論に基づいて計算できます。表1では、各ステップの理論質量損失、モデル試料全体の質量に対して測定された質量損失、およびシュウ酸カルシウム一水和物の質量に基づいて算出した質量損失を比較しています。

シュウ酸カルシウム一水和物の秤量質量を基準にすると、実験で得られた質量損失は理論値と良好に一致しています。一方、Al₂O₃球を含むモデル試料全体の質量を基準にすると、各ステップの質量損失は約0.01%という非常に小さな値になります。

表1:シュウ酸カルシウム一水和物(CaC₂O₄·H₂O)の分解ステップにおける理論値と実測値の比較

分解ステップ 理論質量損失(%) モデル試料全体に対する検出質量損失(%) CaC₂O₄·H₂Oの秤量質量に対する検出質量損失(%)
CaC₂O₄·H₂O → CaC₂O₄ + H₂O 12.32 0.008 12.40
CaC₂O₄ → CaCO₃ + CO 19.16 0.012 19.04
CaCO₃ → CaO + CO₂ 30.11 0.019 30.26

この結果から、モデル試料全体の質量に対して0.01%前後となる微小な質量損失ステップも、NETZSCH STAによって検出できることが示されました。大容量容器を活用して試料全体の質量を増やすことで、従来の小容量るつぼでは評価が難しい微小な質量変化の分析が可能になります。

結論

高純度の化学物質や材料の品質を確保するには、正確で再現性の高い分析が不可欠です。同時熱分析(STA)は、こうした品質管理を支える重要な分析手法です。

従来の小容量るつぼでは、特に0.01%程度の微小な質量損失を評価する際に、試料量の制約が課題となることがあります。NETZSCHでは、85 μlから10 mlまでの幅広い容量のるつぼ・容器を用意しており、試料や測定目的に応じた柔軟な条件設定が可能です。

微小な質量損失を捉え、品質管理の精度を高める

大容量容器を含む幅広い選択肢により、測定条件を試料に合わせて最適化し、わずかな質量損失も確実に検出することができます。さらに、容量や材質の異なる容器を使い分けることで、さまざまなアプリケーションに対応できます。

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