LFA 467 HyperFlash®のZoomOpticsによる小型半導体デバイスの熱拡散率測定
はじめに
エレクトロニクス産業の継続的な発展に伴い、電子部品の小型化が急速に進んでいます。一方で、部品のサイズが小さくなると放熱に利用できるスペースが減少する一方、部品から発生する熱への対策はますます重要になります。そのため、電子部品には熱を効率的に伝え、制御するための優れた熱特性が求められます。
LFA 467 HyperFlash®は、小型電子部品の熱拡散率測定に対応しています。2 MHzの高速データ収集レートにより、非常に薄い試料の測定が可能です。また、特許取得済みのZoomOptics®を使用することで、試料全体ではなく、評価対象となる特定の領域に検出器の視野を合わせることができます。
試料と実験
今回は、合計5つの試料を評価しました。
- 構造を持たない銅リードフレーム:1個
- 構造Aの半導体デバイス:2個(A-1、A-2)
- 構造Bの半導体デバイス:2個(B-1、B-2)
半導体デバイスは、接着剤やはんだなどの接続材料を介してシリコン(Si)チップを銅リードフレームに接合した構造です。デバイスAとBの違いは、接続材料にあります。図1に、半導体デバイスの概略構造を示します。

測定はLFA 467 HyperFlash®を用いて室温で実施しました。試料全体に光を照射し、ZoomOptics®によって検出器の測定領域を直径3.4 mmに絞りました(図1参照)。
結果と考察
信頼性の高い結果を得るには、検出器で取得した信号と、解析に用いるフィッティング曲線が良好に一致することが重要です。図2に示すように、試料形状が理想的でないことに起因すると考えられる測定信号初期の放射ピークが見られるものの、いずれの測定でも信号とフィッティング曲線は良好に一致しました。

室温付近で測定した各試料の熱拡散率を図3に示します。
構造を持たない銅リードフレームの測定値は、銅の文献値である117 mm²/sと一致しました[1]。また、構造が同一の半導体デバイスA-1とA-2では、熱拡散率の差はほとんど認められませんでした。この結果は、測定の再現性が高いことを示しています(緑色)。
一方、接続材料が異なる半導体デバイスB-1とB-2では、熱拡散率が大幅に低下しました(赤色)。B-1とB-2を比較すると、両者の測定結果には再現性が見られる一方、約5%の差が認められました。この差は、B-2の接触熱抵抗がより高く、シリコンチップと銅リードフレームの熱的な接続が弱いことを示唆しています。

まとめ
LFA 467 HyperFlash®とZoomOptics®を組み合わせることで、小型試料や試料内の特定領域を対象とした熱拡散率測定が可能になります。
測定対象領域を限定することで、試料の周辺部や厚さが異なる領域などの影響を抑え、測定精度と結果の信頼性を高めることができます。これは、小型化が進む電子部品の熱特性評価において、特に有用な特長です。
小型半導体デバイスの熱特性を、狙った領域で評価
LFA 467 HyperFlash®の高速データ収集とZoomOptics®による測定領域の限定により、小型電子部品の熱拡散率を評価し、接続材料や接触熱抵抗の違いによる熱特性の変化を捉えることができます。
参考文献
- Y. S. Touloukian, Thermophysical Properties of Matter, Volume 10: Thermal Diffusivity, New York (1973).