磨く

2023.09.01

こんにちは!ネッチ・ジャパンの篠田です。残暑厳しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
我が家のテレビは民放が映らないので、めったにテレビドラマは見ないのですが、珍しく最近はまっているのが「VIVANT」、U-NEXTで見ております。もちろんネタバレはしませんが、主人公は乃木憂助、島根県の刀鍛冶の旧家の出身、ということぐらいは書いても良いでしょう。

 
ロケ地となったのが、松江市の本庄小学校、これがなんと、お笑いの“かまいたち”山内の出身校と聞いてびっくり。山内は別班か!?というコメントもついたようですが、それは絶対にない! “かまいたち”のコントでも出色なのは中国人家庭教師でした。
島根県の産業技術センター様に、LFA関係で頻繁にお伺いしたことがございまして、松江市にも何度か行ったことがありますが、いいところです。
主人公の乃木、という名前を聞いてほぼ最近の人は乃木坂46を連想するのでしょうが、私の世代(?)ですと、日露戦争の旅順で苦労した、乃木希典大将ということになります。乃木大将は長州人ですが、乃木氏の先祖は、松江のあたりが出自のようなので、「VIVANT」の設定はよく考えていると思います。

 
 VIVANTに刀が良く出てくるのですが、そういえば、我が家にも刀があったな、研ぎ師の柿沼進一師匠に研いで頂いたことがあったな、というのを思い出しました。(昔のブログ)
この磨く、という技術そのものが伝統工芸になっており、その深さに感銘したのですが、そこで今回のブログのテーマ“磨く”です。今回は、株式会社光響のフェムト秒レーザーの自作キット(金額5桁)を買いまして、社長室での組み立て体験記にしようとも思ったのですが、レーザーしろうとなのがばれますので、今回は“磨く”です。

 
 もとはと言えば、海外のNanoTRのユーザーで、SUSを鏡面加工したけれども、上手くサーモリフレクタンス信号が測定できない!という声がありました。Ra数nmと主張しているのですが、どうしても鏡面には見えない。まず自分達でSUSを磨いてみよう、というのが動機です。
JIS R 1689「ファインセラミックス薄膜の熱拡散率の測定方法ーパルス光加熱サーモリフレクタンス法」によりますと、“加熱用パルス光の照射領域において膜厚のうねりは5 %以内であることが望ましい。表面の算術平均粗さは5 nmRa以下であることが望ましい。”
つまり、鏡面加工には、粗さを小さくする、というのと広い領域において、うねりを小さくする、の二つのことが重要になります。ここで見逃しやすいのが、後者のほうです。

 
 大学時代は、希土類純金属の単結晶を作成し、それを薄板加工して、自作の磁場中ACカロリメトリーにかけていたものですから、そのときの加工ジグの作成を製造部にお願いして、ラボにも応援を頼んでおきましたら、磨く、というのがラボの諸君のツボにはまったらしく、熱分析測定以上に熱心に磨く工夫をしてくれました。中には、回転式レオメーターを研磨機代わり(!)に試している研究員もいました。一番うまく行きましたのは、レオメーター用のフラットサンプルホルダーに、磨きたいSUS板をアロンαで張り付けて、ガラス板の上に載せた紙やすりなどの上で“手で磨く”です。現在ラボで測定中ですが、何とSUSでもうまく磨けば、金属反射膜をつけなくてもサーモリフレクタンス信号はとれることが解ってびっくりです。しかもその上にAl蒸着するとむしろシグナルは弱くなるのをラボで見つけました。
そのうち、定量的に技術報告書としてまとめてもらう予定です。
天文台の天体望遠鏡の反射鏡も、結局は手で何週間もかかって磨いていますし、刀と一緒で手が一番、という何とも日本人好みの結果に落ち着いてしまいました。

 
 フェムト秒レーザーの自作キットの話、気になっている方多いですよね?PMタイプとnon PMタイプがあって、両方購入致しました。とりあえず、SMFの溶着はほぼ完ぺきにできるようになりましたが、詳細は次回以降で。。
では、皆様、JASISでは、ネッチ・ジャパンのブースにぜひお越しください。

 

 

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